〜 Vol.3  金利スワップとは 〜



 スワップとは、元来、等価値のものの「交換」という意味です。スワップ取引とは、金利や通貨など相対する当事者間でお互いに等価と思われるものを交換する取引です。
 金利は上昇するであろうと予想する人、金利は低下するであろうと予想する人、 相対する金利観を持つもの同士が、自己に有利だと思われる金利を受け取れるような金利の交換を行う場合に スワップ取引が成立するのです。

1.スワップ取引とは・・・

 スワップ取引とは、資金の受取りや支払いを交換する取引をいい、 将来のキャッシュフローを一定期間相互に交換することを約定した先渡し契約なのです。
 スワップ取引には、金利スワップ、通貨スワップ(異なる通貨の利息などを交換)などがあります。

2.金利スワップとは・・・

 金利スワップとは、固定金利と変動金利など、同一通貨で異なる金利の支払いを交換する取引をいいます。 元本の交換は行われず、想定元本(当事者間で元本として定めた金額) に基づいて計算された金利の支払いの交換を行います。
 金利と一言で言っても様々なものがありますが、銀行からお金を借りる時の借入金利で考えてみます。

将来の金利変動の見通しによって、
・金利が低下すると予想する場合
⇒固定金利建て借入を変動金利建て借入に交換

固定金利⇒変動金利


・金利が上昇すると見込まれる場合
⇒変動金利建て借入を固定金利建て借入に交換

変動金利⇒固定金利


というような金利変動リスクに対処したいというニーズが生まれてきます。

3.金利スワップの会計処理

@ スワップ契約受払日(固定金利と変動金利の差額を損益として計上)
(借) 現 金 預 金   ×××   (貸) 金利スワップ損益  ×××
又は
(借) 金利スワップ損益  ×××   (貸) 現 金 預 金   ×××

A 決算日(金利スワップの時価を認識)
(借) 金利スワップ    ×××   (貸) 金利スワップ損益  ×××
     −スワップ資産−               −評価益−

B 翌期首(前期末の逆仕訳)
(借) 金利スワップ損益  ×××   (貸) 金利スワップ    ×××

4.金利スワップの特例処理

 金利スワップの特例処理とは、想定元本、利息の受払条件、契約期間がヘッジ対象の資産または 負債とほぼ同一である場合に、金利スワップを時価評価せずに金銭の受払の純額を当該資産または 負債に係る利息に加減する処理です。


《金利スワップの特例処理の要件》

(1) 金利スワップの想定元本と貸借対照表上の対象資産または負債
   の元本金額がほぼ一致していること
(2) 金利スワップとヘッジ対象資産または負債の契約期間及び満期が
   ほぼ一致していること
(3) 対象となる資産または負債の金利が変動金利である場合には、
   その基礎となっているインデックス(=指数・指標)が金利スワップ
   で受払される変動金利の基礎となっているインデックスとほぼ一
   致していること
(4) 金利スワップの金利改定のインターバル及び金利改定日がヘッジ
   対象の資産または負債とほぼ一致していること
(5) 金利スワップの受払がスワップ期間を通して一定であること
   (同一の固定金利及び変動金利のインデックスがスワップ期間を
   通して使用されていること)
(6) 金利スワップに期限前解約オプション、支払金利のフロアー(*)また
   は受取金利のキャップ(*)が存在する場合には、ヘッジ対象の資産
   または負債に含まれた同等の条件を相殺するためのものである
   こと
(*)フロアーやキャップは、金利スワップの変動取引部分のオプションで、
  ある権利行使価格で上限や下限を設ける事ができる取引です。


@スワップ契約受払日(固定金利と変動金利の差額を利息に加減する)
(借) 支 払 利 息   ×××   (貸) 現 金 預 金   ×××
又は
(借) 現 金 預 金   ×××   (貸) 支 払 利 息   ×××

A決算日
時価評価に関する仕訳不要


HT Since 2004.4 〜 vol.3 金利スワップとは 〜

トピックスTOP